代数学入門 群論の基本からガロア理論まで おすすめ本まとめてみた
代数学の知識を必要とするのは、数学をやる人や、一部の情報系や物理の道に進む人ぐらいでしょう。(私は暗号をやっているのでバリバリ使いますが)
代数学を大人になってから仕事で使う人はかなり少数派で、実際数学科以外は授業でガロア理論などはやらないようです。
まあ物理をやっている人は群論も使いますが。
まあ、仕事で使うかどうかはともかく、純粋数学は大変面白い世界なので代数学から、整数論、数論、代数幾何など色々眺めてみるのは、娯楽としても行けると思います。
代数学は難しい
ただ代数学はなかなか抽象的で理解が難しいところが多々ありまして、というか学部でやる科目の中でも1番独学がきついかもしれません(泣
解析や線形代数などは、工学などでもバリバリ使っていわゆる応用数学的な側面があると言うか、すぐに役立つようなものなので学習しやすいのですが、群論の場合何でこんなことやってるのかわからないとう状況に陥りやすいですし、自分が今何をやっているのかわからないという状態になってしまうこともあります。
最初はあんまり背伸びせずに代数学の基本である、剰余類や準同型定理やイデアル、素イデアル、極大イデアル、などの基本的な概念をつかむことを目標としましょう。。
群論の最初の1冊に何がいいかはなかなか難しい話でして、これ1冊で分かるみたいなのはあんまりないので、色々な本を読んだ方がいいでしょう。
ボーと読んでいてもなかなか理解は難しいですのである程度集中して、手を動かしながらやる必要がある分野です。
つまり結構な労力がかかります。頑張りましょう。
はじめて学ぶ人のための群論入門
- 作者: 横田一郎
- 出版社/メーカー: 現代数学社
- 発売日: 1997/06
- メディア: 単行本
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まあ、読みやすいのです。
入門者にはいいと思います。
が、やはり代数学は色々な本を読む必要があります。
とりあえずこれをざっと読んでみるのがいいかなあと。
群論というのがどんな感じなのかは何となくわかるようになると思います。
現代数学入門
- 作者: 遠山啓
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/10/01
- メディア: 文庫
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前半は数学史、後半は群論の基本です。
単純に読み物としても読めますが、後半はしっかりと読めば群論の基本的な概念はつかめると思います。
群論の基本的な知識を付けるのには向いてると思います。
活字慣れしてないと途中でだれてしまうかも。
遠山氏の本が好きな人は是非、代数的構造も読みましょう。
代数的構造
- 作者: 遠山啓
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/12/01
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非常に分かりやすくガロア理論までコンパクトにまとまっている。
環論はガロア理論で必要なところ以外は扱っていないのですが個人的には環論をもうちょっと突っ込んでほしかったです。
全体的に読みやすく、独学者に優しい本です。
個人的にお気に入りの本でして、値段も安いし、図も多くていいとこずくめです。
入門入門群論
- 作者: 石谷茂
- 出版社/メーカー: 現代数学社
- 発売日: 2017/06/17
- メディア: 単行本
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入門書としてはいいと思います。
分かりやすいが、範囲が狭い。
もう少しいろいろ扱ってほしかったのですがまあ入門の入門なのでこんなもんかなあという感じです。
群論がどうしてもわからないという人向けです。
これでもかというぐらい丁寧に説明されています。
雪江 代数学1・2
- 作者: 雪江明彦
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2010/11/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: 雪江 明彦
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2010/12/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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標準的なテキストです。
とてもよくまとまっていて、行間も埋まっているので十分理解できると思います。
ただ全くはじめてという人には厳しいかもしれません。
いわゆる数学書ですので、スラスラは読めません。
群論入門の方は必読です。
環と体とガロア理論は初心者が行きなり読むのは厳しいと思います。
あとyoutubeに雪江先生のガロア理論の講義動画があるので是非参考にしてください。群論と環論の知識があることが前提ですが、こういう講義動画があるのは独学者には大変ありがたいですよね。
京都大学 「代数学Ⅱ」 10月7日2限 理学研究科 教授 雪江明彦
また、表現論の基礎の講義動画もあるので、ガロア理論をやったあとに是非見てください。こちらは線形代数の基本的な知識も必要です。
京都大学「基礎数学からの展開A」4月13日5限 理学研究科 雪江明彦 第1回
リー代数なども英語なら大学の講義動画は結構ネットに落ちているので、見てみるといいと思います。やはり、英語はできた方がいいですよね。
英語ができないと私みたいに新しいことを学ぶときにすごく苦労するはめになりますので、皆さんは英語も真面目に学習しましょう。
ガロア理論の頂を踏む
- 作者: 石井俊全
- 出版社/メーカー: ベレ出版
- 発売日: 2013/08/22
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最高に分かりやすいです。
ガロア理論が理解できなくて困っている人はこれを読みましょう。
ちゃんとした数学書もいいですが、独学者にとってはこういう本は本当にありがたいです。
図が多く、直感的に理解できるようにかかれているので、独学に向いてます。
これを読んだあとなら雪江先生の講義も理解できると思います。たぶん。
もっと一杯講義動画あげてほしいですよね。
数学ガール
- 作者: 結城浩
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2012/05/30
- メディア: 単行本
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うーむ。評価に悩みます。
数学ガールが好きな人は読むといいと思います。
まあでも読みやすいですし、ガロア理論の入門書としてはありなのかなあと。
ただガロア理論がわかるようになるかと言われると、、、
数学は世界をこう見る
- 作者: 小島寛之
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2014/05/16
- メディア: 新書
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イデアルについてもっとも分かりやすくかかれている本です。
イデアルがわからんという人はこの本を読みましょう。
読みやすくて分かりやすくて最高です。
ものすごく良くできています。
環論を学ぶなら欠かせない1冊だと思います。
特に可環論に興味がある人にとっては、最高の入門書です。
数学書が全部このぐらい分かりやすかったらいいのにって何度も思いました。
本当に素晴らしい本です。
天才ガロアの発想力
天才ガロアの発想力 ?対称性と群が明かす方程式の秘密? (tanQブックス)
- 作者: 小島寛之
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2010/08/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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再び小島寛之氏本です。
こちらも大変読みやすくて、最高です。
こういう本もっとたくさんかいてほしいです。
ガロア理論の最初の1冊にもいいですし、ある程度勉強したあとに読むのもいいと思います。小島氏本はどれも大変良くできてるの是非他の本も読んでみましょう。
桂 代数学
代数学〈1〉群と環 (大学数学の入門)
代数学〈2〉環上の加群 (大学数学の入門)
代数学〈3〉体とガロア理論 (大学数学の入門)
こちらは有名な本ですが、独学には向きません。
かなり薄くてコンパクトにまとまっていますが、その分説明が簡潔です。
すでにわかっている人が復習用に使うのがいいと思います。
まあでもこれを読んでいる人はかなり多いのでとりあえずは持っておきたいところです。
分かりやすいかはよくわからない。この本で理解する人はいるのだろうか。もとからわかっている人しか使えないと思うのは私だけだろうか。
とりあえずここら辺の本で、基本としては十分だと思います。
このあとは、整数論なり数論なり、ホモロジー代数、リー代数、可環論など好きな分野に進めると思います。
数学の勉強を独学でやるのは抽象的になればなるほど大変ですので、英語ができれば大学の授業が結構たくさん落ちているのでそういうのも参考にするといいと思います。
英語はやっぱりできた方がいいですよ、ホントに(泣)